「先生は、大きな声でどなりません!」宣言《6/2》

4時間目の特別活動の時間。

黙ったまま、
黒板にたてかけたホワイトボードに、
言葉を書いていく・・。

「どなる」
「おどす」
「たたく」
「ける」
「なぐる」
「にらむ」
「イヤな言葉を言う」
「はずかしい思いをさせる」

一人の子どものつぶやき。
「あっ、きのうのことや!」
「そうや、ボクらそんなんして、おこられた!」

どうやら、子どもたちは、
自分たちが普段している悪いことが、
書かれていると思ったようです。

さらに、黙ったまま黒板に書いていく。

「これは、先生が気をつけたいなあ〜と思っていることです」

一斉に「え〜っ!」と声があがりました。

「昨日のこと覚えてる?
 ○班のグループに、先生、大きな声でどなっておこったね。
 あれから、ずっと考えていたんだ」

 そう、昨日の下校前のこと。
 3週間前の席替え以来、
 ずーっとつつきあいや言い合いを続けている○班のグループ。
 クラブに向かう前の忙しいときに、
 また、ちょっかいの出し合い。
 そして最後には、一人の子が鼻血をだしてしまった。
 そこで、ついに大声でどなりつけてしまったのです。

「昨日、せんせいが大きな声でどなった場面で、
 今書いたことにあてはまるの、あるよね?」

「どなる、にらむ・・これ、あったでしょ?」

「それから、みんなの前で、4人を立たせたまま、おこったね。
 みんなの前でどなられるって、すごい恥ずかしいことでしょ?
 これって、はずかしい思いをさせる、にあてはまるでしょ」

「先生は、これから大きな声でどなりません!」

 もし、先生が忘れていて、どなったりしたら、教えてね」
(そんなん、言えるわけないじゃん(笑)というつっこみも・・・)

その後、昨日、大きな声でどなりつけてしまった4人に、
ゴメンナサイしました。

そして、次のような話をしました。

「先生が気をつけようと思っていること。
 これ、みんなにもやってほしいと思っているんだ」

「今、クラスでケンカがあったとき、
 すごい口調で言い合ってるでしょ。
 きつい言葉もふえてきた・・・。
 でもね、クラスで何か問題があったとき、
 どなったり、にらんだり、けったり・・・そんなんじゃなくて、
 うまく解決する方法を考えていこうと思うんだ」

「どんな解決方法がある?」

すると、子どもたちから、
ぽつぽつと、言葉が出てきました。

「とめる」
「話し合う」
「冷静になる」
「あやまる」
「やめてって相手に言う」
「手紙で気持ちを伝える」
「相手にしない」

「クラスで何かあったとき、
 こんなやさしい解決方法をみんなで考えていけたらいいね。
 やっていこうよ!」と呼びかけました。

最後に、子どもたちに聞きました。
「先生にどなられるの、イヤな人?」
 
ほぼ、全員が手を挙げていました。
そりゃ、そうだよね。

「みんなで、いいクラスつくっていこうね!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

長い時間、教室で過ごしていると、
つい声を荒げることが起こってしまいます。

だからこそ、子どもたちに対しての、
「先生は、大きな声でどなりません!」宣言

これは、小さなことかもしれませんが
自分自身にとって、大きな挑戦です。

声を強めてどなったり、罰を与える代わりに、
解決に向けた手だてを考える!

これをクラスづくりの基盤にしていきたいです。
できるかなあ?


この日のふりかえりジャーナルのテーマは、
「やさしい解決の方法について考えたこと」

・その場をはなれるより、「やめて」と言うほうがいいかなと思った。それより、あやまったほうがいいと思う。けんかをしたら、必ず話し合ったほうがいい。

・けんかをしたとき、サークルになってみんなで話し合ってかいけつする。ホワイトボードではんごとにけんかのことで書いていく。けんかしているところを見た人は、「やめや」とかを言う。

・わたしは何かを言われると、さきに手がでてしまうので、気をつけないといけないなと思いました。10秒まって、心をおちつかせて、言わないといけないなと思いました。もっとがんばります。

・とてもむずかしいことだと思う。でもこれができたらすごくいい。もし、やられても、しかえしをやらない。それで、話し合いが一番いい方法だと思います。それでもかいけつをしない場合は、その人ときょりをとるのがいいと思います。人にちょっかいをかける。人にしかえしをする。これをなおしたいと思います。とめることは、げんじつはとてもむずかしいです。でも、とめられたら、とってもいいことだと思います。

・わる口を言われたとき、ほとんどの人が言いかえしてしまっているので、今日、先生がいっていたように、10秒数えておちついてから話し合いをしたらいいと思います。

・わたしは家であんまりけんかをしてないほうだけど、けんかしてるところは学校などでよくみかけるので、解決の方法を覚えてみにつけたいです。そして、わたしもどなったりはぜったいしたくないと思います。先生がそういうことを考える先生は初めてなので少しびっくりして、よかったと思います。

・ケンカがおきたときの考え方は、「10まで数える」がボクはいい方法だと思いました。あと、「とめる」は、どうやってとめるかどうかです。ぼくが思うには、まず、「なんでこうなったん?」と聞きます。で、「おまえには関係ない」と言われたら、けんかにまきぞえにならないように、やさしく「関係ある」と言います。そして、「はあ?」と言われたら、また、「なんでこうなったん?」と聞いて、たぶんそれで言ってくれると思うので、やってみたことないけど、そう思います。

・みんなの前でおこられて、恥ずかしい思いをする。おこられたら、すごく心がきずつき、死にたい気分になってしまいます。わたしは、みんながいないところにいると、少しはほっとすると思います。わたしは、前からそう思います。前のきずは、まだなおりません。

・わたしが一番いいと思ったのは、あやまるってことだなーと思います。だって、あやまることは、もう一生しないっていう意味をあらわしているからです。それに、自分も「やってしまったー」という気持ちがあるからあやまれるんです。もう一つ、やさしくかいけつできるのは話し合いです。話し合いは自分たちでかいけつできるからです。

・考えてみると、いろいろやさしい解決方法があった。他の人がケンカをしているイメージを考えると止めることは、勇気がいると思った。もしケンカをしていたら、れいせいにはんだんしてみようと思った。先生が、「どなる、たたく、ける、なぐる」をすると聞いたときは、びっくりして、そんなイメージがうかびにくかったです。

・やさしく考える話し合いをするといいと思います。なぜかというと、話し合いをしていると、むかついているのもちょっとだけおちつくと思います。そして、すごく話し合いをするとすごくすごくいいと思います。話し合いをすることで、あやまりやすくなると思います。